Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
山川 紘一郎
分光研究, 72(5), p.187 - 198, 2023/10
水素原子核を回転対称位置に有する分子は、その合成核スピンによって区別される核スピン異性体を持つ。同種粒子の不可弁別性に由来する対称性の制約により、各異性体は特定の回転準位のみを占有する。異性体間の転換は凝縮系では促進され、転換する分子の余剰回転エネルギーは凝縮系へと散逸する。本総説では、基本的な分子である水素とメタンに焦点を当て、低温凝縮層内に捕捉されたこれら分子の核スピン変換の研究を解説する。
日下 良二
分光研究, 72(4), p.155 - 162, 2023/08
振動和周波発生(VSFG)分光法は、超短パルスレーザーを用いた二次の非線形振動分光法である。VSFG分光法は、表面・界面の分子構造に関する非常にユニークで有用な情報が得られるため、広い研究分野で用いられてきた。しかし、一般的な実験手法に比べて実験の難易度が高いこともあり、VSFG分光法が適用可能であるにも関わらずあまり利用されていない研究分野は数多く存在する。本総説では、最近われわれが行ったVSFG分光法による2つの研究課題:(1)水表面の化学反応および(2)アクチノイド化学について解説する。
山川 紘一郎; 那須 裕一*; 清水 元希*
分光研究, 69(3), p.105 - 106, 2020/06
分子クラスターの構造や分子間振動モードの解明には、テラヘルツ域と赤外域の同時分光測定が有力である。本稿では、超高真空下で60-7000cmの波数域における吸収分光測定を行う装置について解説した。
日下 良二
分光研究, 67(6), p.239 - 240, 2018/12
本稿では原子力分野外の読者を対象に、日本原子力研究開発機構(JAEA)と量子科学技術研究開発機構(QST)の共同研究によって開発された分光分析手法を解説した。解説した手法は、使用済燃料に含まれるPd同位体を、レーザー誘起光還元法と誘導プラズマ質量分析計(ICP-MS)を用いることによって定量分析することに成功した手法である。使用済燃料に含まれる放射性同位体の定量分析の重要性と、その分析の難しさや問題点を解説した上で、本手法の原理、利点、さらには、今後の応用について記述した。
小畠 雅明; 岡根 哲夫; 小林 啓介*
分光研究, 67(4), p.161 - 162, 2018/08
放射光施設で急速に導入・開発されている硬X線光電子分光法について紹介する。特に、絶縁体の硬X線光電子分光による電子状態分析を実現するために、開発した電荷中和法について技術開発のトピックスとして取り上げた。その一例として、福島第一原子力発電所事故を想定したセシウムの原子炉構造への吸着挙動について示した。最後に、硬X線光電子分光法の今後の展望について述べる。
中村 彰夫
メスバウアー分光研究, (14), p.8 - 11, 2013/00
最近、一連の欠陥蛍石型酸化物、MO-LnO系(M=Ce, Th, Zr, Hf, U等; Ln=3価ランタノイド)の格子定数の非ヴェガード性と非ランダムな欠陥構造を統一的に記述する新しい欠陥結晶化学モデルを提案した。本講演では、その概要を、その発想のもととなりまたこれを裏付けると思われる微視的なメスバウアー, EXAFS及びNMRによる局所構造データ並びにこれらの系の実際的応用との関連において、紹介する。
福島 弘之
分光研究, 39(2), p.102 - 109, 1990/00
イオン交換法によるリチウム同位体の分離濃縮の研究において、迅速かつ高精度のリチウム同位体比測定法として、中空陰極管を励起源とする発光分光分析法の適用を検討した。同位体測定には、同位体波長シフトをもつ670.8nmのスペクトル線を用いた。試作した中空陰極管では、陰極金属面をテフロンで絶縁等を行い、金属スパッターやそれら元素のイオン化効果を防いだことによって、長時間にわたり極めて安定したスペクトル線強度を得ることができた。さらに、明るさのあるファブリペロ干渉計を高分解能分光器として用い、そして、パルス放電を行うことにより、試料量と放電電流を少なくすることができ、線幅の増大が避けられた。これらによって、微少波長差の同位体スペクトル線を分離することができ、SN比が改善された。再現精度は天然組織レベルで変動係数0.06%である。測定値は質量分析値と0.05atomic%の範囲内で一致した。
福島 弘之
分光研究, 36(1), p.46 - 50, 1987/01
発光分光法においては、微弱信号測定の際、雰囲気ガスの発光によるバックグランドや妨害線が測定精度に大きな影響を与える。一般にスペクトル線と重なった妨害線を正確に差引くことは難しい。また精度向上のためには、信号を可能なかぎり低い雑音レベルで測定する必要がある。本報では、中空陰極管法によるウラン同位体比測定において、雰囲気ガスによる妨害線やバックグランドを差引くため、中空陰極管を改造して交流放電を行ない、それによって両方の極で交互に発生する雰囲気ガスの光信号を位相検波器を用いて消去する方法を試みた。その結果、Uの低濃度域(0.68~3.5%)におけるU/Uのピーク高さのくり返し測定の再現精度は変動係数で0.35~0.25%となり、従来の中空陰極管法に比べ2~4倍向上した。また質量分析値との比較では、相対変差0.5%以内で一致した。本法は同位体比測定にかぎらず、微量元素の定量にも有効と考えられる。
福島 弘之; 伊藤 幹生*; 白数 廣*
分光研究, 35(4), p.309 - 321, 1986/00
ウランの同位体スペクトル線を充分に分離して、測定精度向上を目的として、ファブリ・ペロー干渉計の自動平行調整法を開発し、それをタンデム配列した高分解能分光計を試作した。632.8nmのHe-Neレーザー光を鏡面間隔測長の波長基準として用い、さらにまたその干渉縞をサンプルゲート動作信号として、サンプリング法によるフィードバックを行なう。これにより、鏡面間隔の任意設定を容易にし、2台の干渉計の同期走査を可能にした。2台の干渉計の平行度の誤差範囲はそれぞれ/580と/520で非常に高い安定性が得られた。尖鋭なスペクトル線と高いSN比が得られ、そして再現性の向上が見られている。
加藤 金治; 高島 教一郎; 中島 篤之助
分光研究, 25(6), p.293 - 298, 1976/06
チタンおよびニオブを含有するニッケル基耐熱合金中の銅、コバルトおよびマンガンを空気-アセチレン炎を使用して原子吸光分析法で定量するとき、ある種の溶液では共存するチタンおよびニオブが特異な干渉現象を示すことが見出された。すなわち、ペルオキソ錯体を生成させるような処方で調製したチタンおよびニオブを含む溶液では、銅、コバルトおよびマンガンの吸光値に有意なばらつきを与えることがわかった。この溶液系で起る干渉の大きさはチタンおよびニオブの共存量に比例する傾向にある。 この干渉機構を解明するためにTwin-nebulizerを試作し、これによりこの干渉はチタンおよびニオブの溶液中での溶存状態に依存し、霧化過程に関係せず、また炎中の光散乱に基づくものでもなく、エアロゾルの蒸発過程において生ずるものであることを確認した。
福島 弘之; 中島 篤之助
分光研究, 24(3), p.148 - 155, 1975/03
光学的にウラン同位体比を測定する方法を検討した。使用したスペクトル線は5027である。高分解能分光器として島津製エタロン・回折格子分光器(MEG-50)を用いた。接着により固定された石英製スペーサー(2.5mm)のため、エタロンの安定度は極めて良好で、約6ヶ月間調整の必要は無かった。励起源として特別な構造を持つ中空陰極管を作った。試料はUO粉末のまま(約50mg)交換可能の黒鉛電極に充填するだけでよい。放電のキャリヤーガスはアルゴンに少量の窒素を混合し、50Hzの脈流で放電させる。これにより30mA程度の比較的小電流で充分な強度を得ることができた。スペクトル線強度は少なくとも2時間は安定である。U濃度0.684~200atomic%の範囲で、強度比U/Uの相対標準偏差は1.3~0.3%であった。
加藤 金治
分光研究, 23(4), P. 187, 1974/04
ジルコニウムおよびジムコニウム合金中の微量ハフニウム・コバルト・銅およびタングステンのけい光X線分析法による定量条件の検討にあたって、銅を分析するときに妨害となる励起用X線管からの銅のスペクトルを除くためにコバルトフィルターを、またタングステンの分析にはPtL線の影響を減少させるために銅フィルターを使用した方法について記述した。
福島 弘之
分光研究, 21(6), p.416 - 422, 1972/06
分光器は圧力走査方式のファブリペロ干渉計を用い、その前置モノクロメータとしては用いられたリチウムの分析線(6708の附近に妨害線が現れていなかったことから干渉膜フィルターを用いた。6708の同位体シフト(0.16と微細構造にもとずく2重線(間隔0.16のためエタロンのスペーサーを7.1mmとした。中空陰極管のキャリヤーガスはアルゴンを使用し、流し捨てたにしたがその真空系の圧力は1.5mmHgであった。放電電源は半波整流電源を使用し、電源電圧は600Vで放電電流は7mAに保った。半波整流放電は両波整流放電に比べ高い強度が得られ、安定な放電の持続時間も長かったことが見い出された。(2時間以上)試料はLiSOとグラファイト粉末を重量比1:1.5の割合で混合したものを15mgとり、グラファイトカップに入れ、銅陰極に取付ける。1試料の測定所要時間は放電開始後1時間である。測定可能範囲は1.0~99.0atomic%で、精度は0.2~0.5absolute atomic%であった。
福島 弘之; 中島 篤之助
分光研究, 19(1), p.38 - 42, 1970/00
ウラン同位体の存在比を光学スペク卜ルによって測定する方法については,多くの研究がすでに行なわれている。しかし測定精度がまだ質量分析法のそれには及ばないために実用化するために,なお多くの努力を必要とするものと考えられる。質量分析法と比べた時の発光分光分析法の利点は迅速性にある。
中島 篤之助; 河口 広司*; 高島 教一郎; 大内 義彦
分光研究, 18(4), p.210 - 217, 1969/00
希土類元素に属するガドリニウム、サマリウム、ユーロピウムおよびジスプロシウムは熱中性子に対する吸収断面積がきわめて大きいので、核燃料あるいは原子炉材料中では極微量の存在も忌避される。また吸収断面積測定のために用いられる材料中の微量のこれらの元素の存在は、核データに大きな影響を及ぼすはずである。われわれはこの方面への応用を目的としてX線励起ルミネッセンス法の検討を行なっている。本報ではこのために組み立てたX線ルミネッセンスの測定装置、操作方法について述べ、それを高純度酸化ランタン中の希土類元素の分析に応用した例について述べる。
高島 教一郎; 中島 篤之助; 河口 広司*; 大内 義彦
分光研究, 18(5), p.262 - 267, 1969/00
著者らは原子炉用材料とか核燃料のクラッド材にアルミニウムが広く使用されていることから酸化アルミニウム中のk希土類元素の定量を試みた。とくに希土類元素串でも熱中性子に対する吸収斯面積がきわめて大きなサマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、ジスプロシウムは原子炉材中に混入するのを避けると同時に十分その量を管理しておく必要がある。この目的のために、X線励起ルミネッセンス法を応用したが、通常の方法により調製した酸化アルミニウムでは感度が低いということがわかった。この点はさらに高温で加熱処理することにより、2桁ぐらい感度を高めることができ、ppm以下の領域の微量希土類元素を何んら分離・濃縮することなく直接定量することができた。また酸化アルミニウムは他のホスト・マテリアルと比較して、ネオジムが良く光るという特徴をもっている。したがってネオジムを定量しようとする場合にはcarrierとしてアルミニウムを用いれば大変良いホスト・マテリアルになる可能性がある。
河口 広司*; 中島 篤之助; 高島 教一郎; 大内 義彦
分光研究, 18(6), p.299 - 305, 1969/00
ホルミウムは、天然には単一の核種Hoだけが存在していることなどから、正確に中性子役縦断面積を測定することが試みられており、そのさい、他の希土類不純物元素が妨害となる。酸化ホルミウムは、X線励起ルミネッセンス法によって希土類不純物元素を発光させるのには、マトリックスとして不適当な物質の一つであり、通常の方法では全く発光しない。著者らは、上述の希釈法の実言詮を確かめる目的もあって、この方法で酸化ホルミウム中の希土類元素の分析を試みた。ジルコニウムは原子炉用の材料として広く用いられているが、第1報でも述べたように、酸化ジルコニウム中の希土類不純物元素は、X線励起ルミネッセンス法によっても充分な感度を得ることはできない。また、酸化ホルミウムの場合のような酸化イットリウムで希釈する方法仏感度が低い点で好ましくない。著者らは、酸化ジルコニウムに酸化トリウムを少量混合すると、希土類元素の発光が飛躍的に増大するということを見出した。本報では、これらの混合マトリックス中の希土類元素の発光、およびこの方法による分析例について報告する。
高橋 正雄; 古川 友三
分光研究, 15(5), p.178 - 183, 1967/00
著者らは最近開発されたMOS型電界効果トランジスタを用いた原子炉制御用のペリオッド計の直流増幅器を利用したミクロホトメータ用増幅器を試作し良好な結果を得たので報告する。回路形式は初段にMOS型電界効果トランジスタを用いた電位計直流増幅回路で透過率スケールと黒度スケールの両方に使えるようにした。黒度スケールの較正は較正用の標準電流源を自蔵することにより電気的な方法で行なうようにした。したがって従来いろいろ議論されてきた乾板較正上の問題から増幅器の電気的特性によると思われる部分を除去することができたと考えている。
河口 広司
分光研究, 15(1), p.29 - 31, 1966/00
最近の市販の分光写真器では、発光装置の電源と同期させて、シャッターの開閉を電磁シャッターにより自動的に行なうものがふえて来たが、乾板の移動は手動で行なうものが多い。分光写真器の操作は、比較的単純な操作の繰り返しが多いために、手順を誤って時間を浪費することがしばしば経験される。このような操作誤りを少なくするために、発光装置の電源と同期させて、シャッターの開閉および乾板の移動を自動的に行なわせる装置を試作したので報告する。
高橋 正雄
分光研究, 13(3), p.102 - 106, 1965/00
近年鉄鋼を中心とする金属工業の分野では直読式分光器が大いに活躍しているが複雑なスペクトルをもつ元素や超微量不純物の分光分析では依然写真法は重要な役割をはたしている。写真法で定量分析を行なうときは当然ながら乾板較正が必要になり、これについては今までにいろいろな方法が発表されている。現在用いられている標準的な方法についてはASTMにまとめられていて、この中で乾板較正用の光源としてグロビュールアークが推賞されている。このアークを実際用いてみると、普通の鉄を電極とするアークに比べ安定であるが、非常に暗く露光にかなりの時間がかかる。また極間隙を十分広くとり自己反転を少なくするため電流を1A以下におさえ、アークを保持するにはかなりの技術と同時にリップル率の小さい安定な直流電源が必要になる。他に特殊な光源としてニッケルの電極を用いたAirstream-stabilized d.c.arcがある。この方法はニッケル電極間の直流アークのまわりに空気を吹きつけアークを安定させ、得られたニッケルのスペクトル線強度から線群法により乾板較正を行なっている。